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これからの日本の医療制度を考える集い
これからの日本の医療制度を考える集い
<混合診療解禁で、どうなる日本の医療>
日時:平成16年11月13日
会場:京都会館第二ホール
主催:京都府医療推進協議会
今、政府が押し進めている”混合診療”について、上記にてシンポジウムが開催されました。
その時のレポートを今回はお送りしたいと思います。
桂 南光さんのトークが、面白・可笑しく進行し、その後、パネルディスカッションが開催されました。
まず始めに、皆さん”混合診療”ってご存じですか?
私は、正直に言うとこのお話を聞くまで、”混合診療”と云う言葉は聞いたことはあるけれど、説明はちょっと・・・という感じでした。
簡単に云うと、今の医療の診療現状は、原則的にすべての診療が保険適用され、その一部を患者が支払う(3割負担分)形式となっています。
”混合診療”は、それプラス範囲外(保険適用外)の診療を患者が支払いなさいと云う制度だそうです。
ん〜っ?プラス範囲外(保険適用外)の診療って・・・
今でも、差額のベット代やおむつ代等の保険外のものあるじゃない?
保険の効かない高度先進医療だってそれにあてはまるじゃないの?
それとどこが違うの?
と私は疑問を持ちました。
それはこういうことらしいです。
現状では、範囲外(保険適用外)の診療は”特定療養費制度”というものにあたるそうです。
”特定療養費制度”とは、特に定められた特別のサービス(差額のベット代やおむつ代等)や高度医療を含んだ療養については、療養全体にかかる費用のうち基礎的部分については保険給付をし、特別サービス部分を自費負担とすることによって患者の選択の幅を広げようとするものだそうです。
こちらを参考にして下さい
つまり、基本的にすべての診療が保険適用(3割負担分はありますが)という考えであり(ここが大切!)、”特定療養費制度”の部分のみ自費で支払う。また、今は特定療養費制度の高度先進医療の部分も今後、保険適用になりうる保険診療予備軍にあたるものである。と、いうことです。
しかし、政府が目指す”混合診療”は、大きく三つの問題点があります。
まず一つ目の問題として、保険診療外の部分(自由診療)を保険診療予備軍とは考えず、今後ますますこの自由診療の部分を拡大させ、逆に従来の保険診療を縮小させようとしており、将来的に今まで保険が効いていた診療も保険外になってしまうこともありうると話されていました。
二つ目の問題として、新薬の有効性と安全性について心配であると・・。
今は国が新薬は治験によって安全性を確かめ、厚生労働省が認可しています。(悲しいかな、それも必ずしも安全であるとは云えませんが・・・・)
自由診療となると、患者が認可(厚生労働省 認可)の下りていない新薬を選べることになりますが、その安全性は不確かなものであり、副作用などの問題も出てくるかもしれません。
その時、誰の責任となるのでしょう? 選んだ患者自身? それとも勧めた医者?
三つ目の問題は、自由診療の部分の拡大により、国民の自己負担が増加することになり、必然的に私的保険に加入しなければならなくなる。
このことは、もともと持病のある人、高齢者にはきっと不利になることでしょう。
アメリカのように将来、保険額により、治療範囲が限定されてしまう可能性も十分あります。
例えば、救急車で運ばれた患者に「あなたはどんな保険に入っていますか?」と聞くことから始まらなければなりません。入っている保険会社に、この患者の入っている保険の治療範囲の確認がなされ、適応範囲内の治療しか受けれないことになってしまうのです。
これは、貧富の差によって受けられる医療が限定されてしまうということです。
”聖域無き構造改革”と政府はうたっていますが、こと医療に関して本当に良いのでしょうか?
またこれは、政府の医療費の負担金の縮小という政府の思惑と、株式会社の病院!?(立派で快適な病院・・株主主体・利益第一主義??)の参入、民間保険会社の市場拡大という産業界の思惑が一致したものであり、国民皆保険制度を崩すものであると・・・・。
患者の選択肢を広げるというまやかしの言葉で、国民が理解出来ていない現状を利用して、このまま推し進めているとも話されていました。
皆様方は、この混合診療解禁どのようにお考えになりますでしょうか??。
以上、初体験のリポートでした。
【あとがき】
「いつでも・どこでも・だれにでも」の医療精神は、崩壊してしまうのですか??
「患者の選択肢を広げる」というまやかしの言葉・・・・
自己責任による選択??
何の選択ですか??
病院の選択??
治療の選択??
薬剤の選択??
何を基準に何を選択すればよいのですか??
情報が少なすぎませんか??
早期解禁を望む声も多く聞かれます。
政府が推し進めるなら、その前にやらなくてはならない問題が山積みではないのか!?と。
賛否両論とは存じますが、今後もこの問題を皆様と考えて行きたいと思います。
2004-11-14