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インフォームドコンセントとは・・・

手術が終わって・・・え?何?この袋?

入院から、数日後、主人の手術は行われました。 不安で胸が張り裂けそうな私・・・。
そんな気持ちを隠し、精一杯の笑顔で”頑張ってね”と 主人を手術室に見送りました。

祈るような気持ちで待った6時間・・・。本当に長かった。 やっと手術が終わり、ほっとしたのもつかの間、私は主治医に呼ばれ、手術室へ・・・。

そこには、見たこともない肉片の塊が、トレーの上にあった。 いそぎんちゃくのような・・・なんとも表現しにくい、まるで生き物のように私に襲ってくるような錯覚さえ思わせるような、不気味な塊でした。


主治医が、

”あのな〜多分ご主人がびっくりするといかんから、ゆうとくわ。癌が思ったより大きくてな、 肛門はもう、使えへんから、おなかに袋をつけたさかいにな、あんじょうにな・・・”

”え?先生どういうことですか?まさか、ストーマーが、ついたのでしょうか?”

・・・・・と、私。

”そうや、よう知ってるな。元気になったら、取り替え方とか看護婦から説明させるさかいにな・・・”

と、言いながら、手術室の奥へと、入っていかれました。



呆然と立ちすくむ私。私は、耳を疑った・・・

主人の癌が直腸がんとわかった時点で、色々な情報をインターネットで、情報収集はしていた。

場合によっては、癌の組織を取り除く際に、取り除く部位によって肛門が使用できなくなり、人口肛門をおなかの右端左端どちらかに取り付けなければならない事もあると・・・。

でもそれは、ネット上だけの話で主人には関係がないであろうと。

私達は、手術の前にそんな話すら聞いていなかった。


”それは、私が主治医に問わなければならなかったことなのだろうか?”

”もしかすれば、私の聞き忘れ???”

”いやいや、絶対に主治医も人口肛門の話はしていなかった!”

そんなことが、頭の中をぐるぐる駆けめぐった。

それより、主人にはなんと言えばいいのだろう・・・
癌の衝撃的な告知以来、すっかり、気を落としていたのは、重々わかっている。

その上にこの人口肛門、袋をぶら下げるのである、なんと言えばよいのだろう・・・

こうなってしまったものは仕方がない、これと付き合っていかなければならないのだが、がんばれといえばよいのだろうか?

”当事者は主人である、それよりも、ちゃんと説明をして欲しい”

・・・そのとき、私は痛切にそう感じた・・・

”インフォームドコンセント”

・・・どこまでが、インフォードコンセントなのだろうか・・・

わたしは、あふれる涙をぬぐうことなく、詰め所に先生の姿を探していた。
2005-05-03