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主治医への問いかけ

二つめの袋

我家の闘病生活・・・書いております。
私が体調不調の為、なかなか更新できず、申し訳ありません。
もう、今年も残すところ、あと2週間。
皆さま、今年は良いお年でしたか?

そう言えば、4年前の今頃・・・・・・ストーマーをつけ、 仕事も何とかこなしていた頃のことです。主人は、よく左足が痺れて、尿が出にくいと話していました。
もちろん、この2〜3ヶ月前から足の痺れと尿の出が悪い話は、主治医に何度も訴えていました。
しかしながら、主治医は

”大丈夫どうもあらへん!・・・”

と、いくら主人が訴えても軽い返事を返されるばかりでした。

実はこの時、主人は肺に癌が転移しておりました。
主治医は、その転移していた癌に注意を払っておられたのでしょう・・・か、もしくは、本人には、言いにくいことなのだろうか・・・と考えた私は、主治医を尋ね、お話を伺いましたが、

”そんなことより、肺が心配。尿の出は、そんな心配せんでよいよ”

と、同じ返答で、同じ態度であった事を思い出されます。

本人が今一番辛いと、訴えていることにいかに対応してもらえるか・・・ これが、その頃の私の主治医への問いかけでした。


この頃、このような事は、患者本人と主治医の間ではよくあることだと言う事を、インターネットの癌難民患者・・のHPで、知りました。患者は黙って医者の言う事を聞く・・・
説明を聞いたところで専門的な医療用語を用いられ話がわからないまま、そして、言えない環境が知らない間に暗黙の了解となっていること・・。これは4年前の話ですから、現在は・・・・。

そうこうしているうちに、主人は訴えていた”尿の出が悪い・・・”が、最悪の状態になり、緊急入院を余儀なくされてしました。
というのも、主人は緊急入院をする2日前、主治医のところを尋ね、また、訴えましたが、

”どうもないで!”

の言葉で、帰宅。 しかし次の日、私は見るからに主人の様子がおかしいので、主治医に連絡し、様態をお話したところ、

”そんなに、出ていなかったのか・・・”

との返事。???あんなに主人は訴えていたのに・・・。

私は、返す言葉もなく、すぐに泌尿器科へ紹介状を書いてもらい、車で一路H病院へ。
H病院では、すぐに検査をし、緊急手術となりました。

その際、H病院の副院長は、

”こんなになるまで・・・どうして・・・あと、もう少し早ければ・・・”

と、また・・・同じ・・・何度言われたのでしょう・・・この言葉!!

”患者は訴えていたのですよ。何度も・・・”

込み上げる怒りよりも、あまりに不運としか言いようのない何ともいえない・・・
受身の立場を改めて痛感した日でした。

原因は、尿道が何らかの原因でつぶれ、尿管からおしっこが出なくなってしまっていたようです。
放射線治療によるものなのか、それとも転移によるものなのか、はっきりとは、おっしゃってはくださいませんでした。

その頃、H病院の泌尿器科の先生が、何とか出るべきところから、尿が出るようにと何度も主人を励ましながら尿管に管を何度も通してくださいました。
しかし、結局上手くいかず・・・・これ以上しても本人が大変辛いだけなので、急遽、直接背中から腎臓に穴をあけ、そこから、尿が出るようにして頂きました。

それは、自分の意思とは関係なく、尿が袋に溜まる・・・のです。 これで、2つの袋を提げての生活が始まるのでした。

あの時・・・、あの訴えていた時に、主治医が患者の話を耳を傾けてくださり、泌尿器科に診察をしていれば・・・と、私は無念で仕方ありませんでしたが、一番辛いはずの主人は何も云いませんでした。
そんな主人の気持ちを考えると、あの頃の私は、唯々祈るのみだったような気がします。
2005-12-14